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【職場のコミュニケーションに悩むSTへ】上司・先輩・同僚と良好な関係を築く会話術

「上司に報告したいことがあるけど、タイミングが掴めないし、うまく説明できる自信がない…」 「先輩に質問したいけど、忙しそうだし、『こんなことも知らないの?』って思われたらどうしよう…」 「同僚と、もっとスムーズに情報共有したいのに、なんだかいつもすれ違っちゃう…」

言語聴覚士(ST)として、日々の臨床業務に加えて、避けては通れないのが職場でのコミュニケーション。上司、先輩、同僚…様々な立場の人たちと円滑に関わり、情報を共有し、協力し合っていくことは、質の高いチーム医療を提供するために、そして何より、あなた自身がストレスなく、気持ちよく働くために、非常に重要ですよね。

でも、現実はどうでしょう?

立場や経験年数、性格の違いから、 「言いたいことが、うまく伝わらない…」 「相手の考えていることが、よく分からない…」 「ちょっとしたことで、気まずい雰囲気になってしまう…」 「コミュニケーションを取ること自体が、なんだか億劫になってきた…」

そんな風に、職場のコミュニケーションに苦手意識を感じ、悩んだり、疲れてしまったりしていませんか? コミュニケーションがうまくいかないと、業務が滞るだけでなく、人間関係のストレスが積み重なり、仕事に行くこと自体が憂鬱になってしまうことも…。

「もっと、みんなとスムーズに話せるようになりたい!」 「職場の人たちと、良好な関係を築きたい!」 「コミュニケーションで、もう悩みたくない!」

この記事では、そんな切実な願いを持つあなたが、職場のコミュニケーションへの苦手意識を克服し、上司・先輩・同僚、それぞれの立場の人と**良好な関係を築き、信頼されるSTになるための具体的な「会話術」**を、分かりやすく解説していきます。

基本的な心構えから、シーン別の実践的なテクニック、そして避けるべきNGコミュニケーションまで、あなたの悩みを解消するためのヒントが満載です。

この記事を読み終える頃には、コミュニケーションへの不安が自信へと変わり、「明日からこう話してみよう!」と、前向きな気持ちで職場の人たちと関われるようになっているはずです。さあ、あなたのコミュニケーション能力を開花させ、より良い職場環境を築くための一歩を踏み出しましょう!

目次

なぜギクシャク?STが職場の人間関係で悩むワケ

「うちの職場、なんだかコミュニケーションが取りにくいな…」「どうして、あの人とは話が噛み合わないんだろう…」そんな風に感じてしまうのには、もしかしたら言語聴覚士という専門職を取り巻く環境や、医療・福祉の現場特有の構造的な要因が隠れているのかもしれません。「私だけが悩んでいるわけじゃないんだ」と知るだけでも、少し心が軽くなるかもしれませんよ。まずは、STが職場のコミュニケーションで悩みやすい、その背景を探ってみましょう。

専門性の壁と「当たり前」の違い:言葉が通じない?

言語聴覚士は、音声・言語・聴覚・嚥下など、非常に専門性の高い分野を扱っています。そのため、私たちが日常的に使っている専門用語や略語、考え方のフレームワークが、他の職種には理解されにくい、という場面に遭遇することは少なくありません。(記事No.15「多職種連携が苦手なSTへ」も参照)

「〇〇(専門用語)がですね…」と説明しても、相手は「???」となってしまったり、逆に、医師や看護師が使う医学用語が分からなかったり…。この**専門性の違いによる「言葉の壁」**が、スムーズなコミュニケーションを阻害する一因となります。

また、それぞれの職種にとっての「当たり前」も異なります。「STとしては、ここまで評価するのが当然」と思っていても、他職種からは「そこまで細かく見る必要ある?」と思われたり、逆に「他職種なら、これくらい知っていて当然」と思っていた知識が、共有されていなかったり…。この**「当たり前」のズレ**も、誤解やすれ違いを生む原因となります。

忙しさが生むコミュニケーション不足:話す時間がない!

医療・福祉の現場は、常に時間に追われていると言っても過言ではありません。患者さんへの対応、記録作成、会議…と、やるべきことに追われ、スタッフ同士がじっくりとコミュニケーションを取る時間を確保するのが難しい、という現実は多くの職場で見られます。

「相談したいことがあるけど、みんな忙しそうで声をかけられない…」 「申し送りも、最低限の時間で済ませなきゃ…」 「ゆっくり話せば誤解も解けるのに、その時間がない…」

時間的な余裕のなさは、心の余裕のなさにも繋がります。その結果、説明が雑になったり、相手の話を最後まで聞けなかったり、イライラした態度をとってしまったり…と、コミュニケーションの質が低下し、人間関係がギクシャクしてしまう原因になるのです。

上下関係や経験年数のプレッシャー:言いたいことが言えない…

病院や施設といった組織には、当然ながら上司・部下といった上下関係が存在します。また、経験年数による先輩・後輩という関係性も、コミュニケーションに影響を与えることがあります。

「上司の意見には、なかなか反論できない…」 「経験豊富な先輩の前だと、自分の意見に自信が持てなくて、つい黙ってしまう…」 「若手だから、あまり出しゃばらない方がいいのかな…」

こうした力関係や経験年数の差からくるプレッシャーによって、本来伝えるべき意見や疑問を、我慢して言えなくなってしまう。あるいは、逆に、上の立場から一方的に指示したり、下の立場の意見を聞き入れなかったり…といった、アンバランスなコミュニケーションが生まれてしまうことがあります。これが、風通しの悪い、息苦しい職場環境を作り出してしまうのです。

性格や価値観の不一致:どうしても「合わない」人との関わり

どんなに努力しても、人間ですから、どうしても性格的に「合わないな…」と感じる人や、仕事に対する価値観が大きく異なる人は、どの職場にもいるものです。

「あの人の、ああいう言い方がどうしても苦手…」 「仕事の進め方に対する考え方が、根本的に違う気がする…」 「プライベートな話ばかりしてくる同僚に、どう対応すればいいか分からない…」

もちろん、仕事上の関係ですから、プライベートのように「好き嫌い」で付き合う相手を選ぶことはできません。しかし、生理的に受け付けない相手や、価値観が大きく異なる相手と、毎日顔を合わせ、協力して仕事を進めていかなければならない状況は、想像以上に大きなストレスとなります。「あの人がいるから、職場に行きたくない…」とまで感じてしまうこともあるでしょう。

これらの要因が複雑に絡み合い、職場のコミュニケーションを難しくし、あなたを悩ませているのかもしれません。

まずは土台から!良好な関係を築くための基本姿勢

具体的な会話術を学ぶ前に、まず最も大切なのは、良好な人間関係の「土台」となる基本的な姿勢を身につけることです。テクニックだけを駆使しても、根底にある相手への気持ちや態度が伴っていなければ、本当の信頼関係は築けません。ここでは、上司・先輩・同僚、誰に対しても共通して心がけたい、4つの基本姿勢について確認しましょう。この土台があれば、あなたのコミュニケーションは自然と良い方向へ向かい始めます。

相手への敬意と「聴く」姿勢の大切さ:全ての基本

良好なコミュニケーションの出発点は、**相手に対する「敬意(リスペクト)」**です。上司であれ、先輩であれ、同僚であれ、後輩であれ、相手の立場や経験、考え方を尊重する気持ちを持つことが、全ての基本となります。

そして、敬意を示す最も分かりやすい行動が、相手の話を真剣に「聴く」姿勢です。(記事No.16「利用者との関係に悩むSTへ」の傾聴も参照)

  • 相手に体を向け、視線を合わせる(ながら聴きはしない)
  • 相槌やうなずきで、聞いていることを示す
  • 途中で話を遮らず、最後まで聞く
  • 相手の意見を頭ごなしに否定しない

「あなたの話を、ちゃんと聞いていますよ」「あなたの意見を、尊重していますよ」というメッセージが伝われば、相手も心を開き、あなたに対して同じように敬意を持って接してくれるようになります。どんな会話術よりも、まずこの基本姿勢を大切にしましょう。

目的は共通!「患者さんのために」を忘れずに

仕事上のコミュニケーションで意見が対立したり、議論が白熱したりすることもあるでしょう。そんな時、感情的になったり、相手を言い負かそうとしたりするのではなく、常に「私たちの共通の目的は何か?」に立ち返ることが重要です。

言語聴覚士として、そして医療・福祉専門職として、私たちの**共通の目的は「患者さん(利用者さん)にとっての最善を尽くすこと」**のはずです。

「この議論は、患者さんのためにどう繋がるんだろう?」 「職種や立場の違いはあれど、目指すゴールは同じはずだ」

この共通認識を持つことで、個人的な感情や利害を超えて、より建設的で、本質的な話し合いができるようになります。「患者さんのために、一緒に一番良い方法を見つけましょう」という姿勢で臨めば、意見の違いも、より良い解決策を生み出すための「多様な視点」として、前向きに捉えることができるでしょう。

「ありがとう」と「ごめんなさい」を素直に伝える:魔法の言葉

子どもの頃から教わってきたことですが、大人になっても、そして職場においても、「ありがとう」と「ごめんなさい」を素直に、そして適切なタイミングで伝えることは、人間関係を円滑にするための「魔法の言葉」です。

  • 「ありがとう」は具体的に、こまめに:
    • 些細なことでも、何かしてもらったら必ず「ありがとう」と伝えましょう。「〇〇さん、さっき資料コピーしてくれて、ありがとう!助かりました!」のように、具体的に伝えるとなお良いです。感謝の気持ちは、相手への肯定的なメッセージとなり、関係性を温かくします。
  • 「ごめんなさい」は潔く、言い訳せずに:
    • もし、自分が何かミスをしてしまったり、相手に迷惑をかけてしまったりした場合は、言い訳を探す前に、まずは「申し訳ありませんでした」と潔く謝罪しましょう。自分の非を素直に認める姿勢は、相手の怒りを和らげ、信頼回復に繋がります。(もちろん、理不尽なことで謝る必要はありません)

これらの言葉を、照れくさかったり、プライドが邪魔したりして、なかなか口に出せない人もいるかもしれません。しかし、この二つの言葉を素直に使えるかどうかで、あなたの周りの人との関係性は大きく変わってきます。意識して使ってみてください。

自分の意見も大切にする自己尊重(アサーティブネスの基礎)

相手を尊重することは大切ですが、それと同じくらい、あなた自身の意見や気持ちを大切にすることも重要です。周りに気を遣いすぎて、いつも自分の意見を我慢したり、言いたいことを飲み込んだりしていては、あなたがストレスを溜め込んでしまいます。

  • 自分の考えを持つ: 周囲の意見に流されるだけでなく、「自分はこう考える」「私はこうしたい」という、自分自身の考えをしっかりと持ちましょう。
  • 意見を伝えることを恐れない: 間違っているかもしれない、反対されるかもしれない、と恐れるのではなく、自分の意見を表明すること自体に価値があると考えましょう。(伝え方には配慮が必要です。後の章で解説します)
  • 無理な要求には「No」と言う: 自分のキャパシティを超えた要求や、納得できない依頼に対しては、勇気を持って「断る」ことも、自分を守るためには必要です。(記事No.21「職場の人間関係に疲れたSTへ」も参照)

相手も尊重しつつ、自分のことも大切にする。このバランスの取れた自己尊重の姿勢が、健全で対等な人間関係を築くための基礎となります。これが、アサーティブ・コミュニケーションの根幹となる考え方です。

これらの基本姿勢を常に心に留めておくことで、あなたはどんな相手とも、より建設的で、心地よいコミュニケーションを築いていくことができるでしょう。

シーン別!明日から使える円滑コミュニケーション会話術

基本姿勢が整ったら、いよいよ具体的な会話術の実践です! 上司、先輩、同僚…相手や状況によって、効果的なコミュニケーションの取り方は異なります。ここでは、あなたが職場で遭遇しがちな様々なシーン別に、明日からすぐに使える具体的な会話術と、そのポイントを分かりやすく解説します。これらの「引き出し」を持っておけば、もうコミュニケーションで悩む場面は格段に減るはずですよ!

【対:上司】報連相のタイミングと「分かりやすい」伝え方のコツ

上司への報告・連絡・相談(報連相)は、業務を円滑に進める上で不可欠ですが、タイミングや伝え方に悩むことも多いですよね。スムーズで的確な報連相のコツを掴みましょう。

  • タイミング:
    • 報告は迅速に: 特に悪い情報(ミス、トラブル、患者さんの急変など)ほど、隠さずに速やかに報告することが重要です。後になるほど、状況が悪化したり、信頼を失ったりする可能性があります。
    • 連絡は事前に: 会議の欠席連絡や、休暇の申請など、事前に分かっていることは、できるだけ早く伝えましょう。
    • 相談は余裕を持って: 上司にも考える時間が必要です。相談したいことがある場合は、「〇〇の件でご相談したいのですが、明日の午後など、少しお時間をいただけますでしょうか?」と、事前にアポイントを取るのがベターです。
  • 伝え方(分かりやすさ重視):
    • 結論ファースト: 「〇〇の件ですが、△△となりました(結論)。理由としては□□が考えられます。」のように、まず結論から伝え、必要に応じて詳細を補足します。(記事No.15も参照)
    • 5W1Hを意識: 「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」を明確に伝えることで、誤解なく情報を共有できます。
    • 事実と意見を区別する: 「〇〇という事実がありました。それについて、私は△△と考えます。」のように、客観的な事実と、あなたの意見や推測は、分けて伝えるようにしましょう。
    • メモや資料を活用: 口頭だけでなく、必要に応じてメモや簡単な資料を見せながら説明すると、より分かりやすくなります。

「報連相がしっかりできる部下」は、上司にとって非常に信頼できる存在です。この基本を徹底しましょう。

【対:上司】相談・提案をスムーズに進めるための「根回し」と「代替案」

何か新しいことを提案したい時や、少し難しい相談をしたい時、いきなり上司に話を持っていっても、なかなかスムーズに進まないこともあります。そんな時は、ちょっとした**「根回し」「準備」**が功を奏することがあります。

  • 事前にキーパーソンに相談(根回し): あなたの提案内容に関係する先輩や、影響力のある人に、事前に「今度、〇〇について提案しようと思っているのですが、どう思われますか?」と、軽く相談し、意見を聞いておきましょう。事前に理解者を作っておくことで、上司への説明がしやすくなったり、会議などで支持を得られやすくなったりします。
  • メリット・デメリットを整理しておく: あなたの提案や相談内容について、組織にとってのメリットだけでなく、考えられるデメリットやリスク、そしてそれに対する対策も、事前に整理しておきましょう。多角的な視点を持っていることが示せ、説得力が増します。
  • 代替案を用意しておく: あなたの提案がそのまま通らない可能性も考慮し、「もしA案が難しければ、B案として〇〇はいかがでしょうか?」といった代替案を用意しておくと、議論が行き詰まるのを防ぎ、建設的な話し合いに繋がりやすくなります。
  • データや客観的な根拠を示す: 「私の経験では…」だけでなく、「〇〇の調査によると…」「△△のデータに基づくと…」といった客観的な根拠を示すことで、提案の説得力が高まります。

少し戦略的に準備することで、あなたの相談や提案が、よりスムーズに受け入れられる可能性が高まります。

【対:先輩】質問上手になる!「自分で調べた上で」聞く技術

経験豊富な先輩は、あなたにとって頼れる知識の源泉です。しかし、質問の仕方によっては、「自分で考えない人だな」「甘えているな」と思われてしまう可能性も…。先輩から快く教えてもらい、学びを最大化するための「質問の技術」を身につけましょう。

  • まずは自分で調べる姿勢を見せる: 分からないことがあったら、すぐに質問するのではなく、まずは教科書や参考書、インターネットなどで、自分で調べてみる努力をしましょう。
  • 「ここまで調べて、ここが分からない」と具体的に聞く: 「〇〇について調べてみたのですが、△△の文献には□□と書かれていて、こちらの資料には××とあるのですが、どちらがより適切なのでしょうか?」といったように、自分で調べたプロセスと、具体的に分からないポイントを明確にして質問すると、先輩も答えやすく、あなたの学習意欲も伝わります。
  • クローズドクエスチョンも活用: 時には、「〇〇さんのこの症状は、△△と考えてよろしいでしょうか?(Yes/No)」といったクローズドクエスチョンで、自分の考えの方向性を確認するのも有効です。
  • 感謝の気持ちと学んだことの報告: 教えてもらったら、必ずお礼を伝えましょう。そして後日、「先日教えていただいた〇〇、△△さんのリハビリで試してみたら、すごく効果がありました!ありがとうございました!」といったように、学んだことを実践し、その結果を報告すると、先輩も「教えてよかったな」と感じ、次の質問もしやすくなります。

「教えてもらう」だけでなく、「自ら学ぶ姿勢」を示すことが、先輩との良好な関係を築き、効果的な学びを得るための鍵です。

【対:先輩】フィードバックを成長の糧にする受け止め方と言葉

先輩から、あなたの仕事ぶりについてフィードバック(アドバイスや指摘)をもらうこともあるでしょう。時には耳の痛い内容もあるかもしれませんが、それを成長の糧として受け止める姿勢が大切です。(記事No.12「自信がない新人STへ」も参照)

  • まずは「ありがとうございます」: 指摘の内容に関わらず、まずは「フィードバックありがとうございます」「ご指摘ありがとうございます」と、時間を使って伝えてくれたことへの感謝を示しましょう。
  • 真摯に耳を傾け、内容を理解しようとする: 反論したり、言い訳したりせず、まずは先輩が何を伝えようとしているのか、その意図を理解しようと努めましょう。もし、指摘内容がよく分からなければ、「申し訳ありません、もう少し具体的に教えていただけますでしょうか?」と確認することも大切です。
  • 感情的にならず、客観的に受け止める: 指摘された内容に対して、感情的にならず、「自分の成長のために、必要な指摘だったんだな」「客観的に見ると、そういう改善点があるのか」と、冷静に受け止めるように心がけましょう。
  • 改善への意欲を示す: 「ご指摘いただいた点を踏まえて、今後は〇〇のように改善していきたいと思います」と、前向きに改善していく意欲を示すことで、先輩も安心し、今後の成長を応援してくれるでしょう。

フィードバックは、あなたへの期待の表れでもあります。素直な気持ちで受け止め、それをバネにして成長していく姿を見せることが、先輩との信頼関係をさらに深めます。

【対:同僚】情報共有を円滑にする「ちょっとした工夫」

同じ立場で働く同僚とは、日々の業務で最も連携する機会が多い相手かもしれません。スムーズな情報共有は、チーム全体の効率と質を高めるために不可欠です。ちょっとした工夫で、連携ミスを防ぎ、円滑なコミュニケーションを実現しましょう。

  • 「口頭+記録」を基本にする: 重要な情報や、間違いがあっては困る内容は、口頭で伝えるだけでなく、連絡ノートや共有フォルダ、チャットツールなど、記録に残る形でも共有するようにしましょう。「言った」「聞いてない」というトラブルを防げます。
  • 共有すべき情報を明確にする: チーム内で、「どんな情報を」「どのタイミングで」「どのツールを使って」共有するのか、ルールを明確にしておくと、認識のズレや伝達漏れが減ります。
  • 相手が分かりやすいように伝える配慮: 相手がすぐに理解できるように、結論から話したり、要点を絞ったり、専門用語を避けたりする配慮は、同僚に対しても有効です。
  • 確認を怠らない: 「〇〇の件、伝わっていますか?」「△△について、認識は合っていますか?」と、適宜確認し合うことで、誤解を防ぎます。
  • 感謝とねぎらいの言葉: 「〇〇さん、情報ありがとう!助かるよ!」「△△さん、いつも細かく記録してくれてありがとうね」といった、感謝やねぎらいの言葉をかけ合うことで、チームの雰囲気が良くなり、情報共有もより活発になります。

お互いが少しずつ配慮し合うことで、ストレスのない、効率的な情報共有体制を築くことができます。

【対:同僚】意見が対立した時の「建設的な」話し合いの進め方

同僚とは、患者さんのケア方針や、業務の進め方などで、意見が対立することもあるでしょう。そんな時、感情的になったり、相手を打ち負かそうとしたりするのではなく、建設的な話し合いによって、より良い結論を導き出すことを目指しましょう。

  • まずはお互いの意見を尊重し、最後まで聞く: 自分の意見を主張する前に、まずは相手の意見を最後まで聞き、なぜそう考えるのか、その背景にある理由や根拠を理解しようと努めましょう。
  • 共通の目的(患者さんのために)を確認する: 「私たちの目的は、〇〇さんにとって一番良い方法を見つけることですよね」と、共通のゴールを再確認することで、対立構造から協力関係へと意識を転換しやすくなります。
  • 感情ではなく、事実と根拠に基づいて議論する: 「私はこう思う」という主観だけでなく、「〇〇の評価結果ではこうなっている」「△△の文献にはこう書かれている」といった客観的な事実や根拠に基づいて意見を述べましょう。
  • お互いの意見の良い点(メリット)と懸念点(デメリット)を出し合う: 一方の意見が絶対的に正しい、ということは稀です。それぞれの意見の良い点と懸念点を冷静にリストアップし、比較検討します。
  • 妥協点や代替案を探る: どうしても意見がまとまらない場合は、「では、今回はA案を試してみて、効果を見てから再度検討しませんか?」「B案とC案を組み合わせる、という方法はどうでしょうか?」といった、妥協点や新しい代替案を探る視点も持ちましょう。
  • 必要であれば第三者の意見を聞く: どうしても平行線の場合は、上司や経験豊富な先輩など、第三者に意見を求めてみるのも一つの方法です。

意見の対立は、必ずしも悪いことではありません。それを建設的な議論に昇華させることができれば、より良いアイデアや解決策を生み出すチャンスにもなり得るのです。

【対:同僚】助け合い、サポートし合える関係づくりのヒント

「困った時はお互い様」。忙しい業務を乗り切るためには、同僚との助け合い、サポートし合える関係を築くことが、非常に大きな力になります。

  • 自分から声をかける: 同僚が忙しそうにしていたり、困っている様子が見られたりしたら、「何か手伝えることありますか?」「大丈夫ですか?」と、まずは自分から声をかけてみましょう。
  • 自分の得意なことで貢献する: あなたが得意なこと(例:PC作業、特定の評価、資料作成など)があれば、それを活かして、苦手な同僚をサポートしてあげましょう。
  • 感謝の気持ちを忘れずに: 助けてもらったら、必ず「ありがとう、本当に助かった!」と、感謝の気持ちを伝えましょう。
  • 情報や知識を共有する: 自分が学んだことや、便利なツール、役立つ情報などがあれば、積極的に同僚と共有しましょう。「ギブアンドテイク」の精神が大切です。
  • プライベートな話も適度に(相手との距離感を見ながら): 仕事の話だけでなく、時には趣味の話や、ちょっとした雑談をすることも、親近感を深め、相談しやすい関係を築く上で役立ちます。ただし、プライベートに踏み込みすぎない配慮も必要です。

お互いが「この人のためなら、協力したい」と思えるような、信頼と尊敬に基づいた関係性を築くことができれば、職場はもっと働きやすく、そして心強い場所になるはずです。

これはNG!関係を悪化させるコミュニケーション

良好な関係を築くための会話術を学ぶと同時に、「これをやってしまうと、関係性が悪化してしまう」というNGコミュニケーションを知っておくことも、トラブルを未然に防ぐ上で非常に重要です。無意識のうちに、相手を不快にさせたり、信頼を損ねたりするような言動をとってしまわないように、以下の点には特に注意しましょう。

陰口・悪口・噂話は百害あって一利なし

特定の人のいないところで、その人の悪口や否定的な噂話をすることは、絶対に避けるべきです。

  • 信頼を失う: あなたが悪口を言っているのを聞いた人は、「この人は、私のいないところでも、私の悪口を言っているかもしれない」と、あなた自身への不信感を抱きます。
  • 職場の雰囲気を悪化させる: 陰口や噂話は、職場全体の人間関係をギスギスさせ、不信感や対立を生む原因となります。
  • 巡り巡って自分に返ってくる: あなたが言った悪口が、いつか本人の耳に入り、取り返しのつかない事態になる可能性も十分にあります。

不満があるなら、陰で言うのではなく、建設的な方法で本人や上司に伝えるべきです。一時的なストレス解消のために陰口を言うことは、長い目で見れば、あなた自身の首を絞めることになりかねません。

感情的な物言い・決めつけ・人格否定

意見が対立したり、相手の行動に不満を感じたりした時に、感情的な言葉で相手を攻撃したり、一方的に決めつけたり、人格そのものを否定するような発言は、関係性を破壊する最悪のコミュニケーションです。

  • NG例:「なんでそんなこともできないの!」「いつもあなたは〇〇なんだから!」「やる気あるの?」
  • NG例:「どうせ、あなたには理解できないでしょうけど…」
  • NG例:「だからあなたはダメなんだ」

こうした言葉は、相手を深く傷つけ、強い反発心や不信感を生み、建設的な話し合いを不可能にします。たとえあなたが正しかったとしても、伝え方を間違えれば、全てが台無しになってしまいます。意見を伝える際は、常に冷静さを保ち、事実に基づいて、相手の人格ではなく「行動」に対して、具体的に伝えることを心がけましょう。(アサーティブな伝え方を参考に)

「でも」「だって」ばかりの言い訳

何かを指摘されたり、注意されたりした時に、「でも、〇〇だったので…」「だって、△△さんが…」といった言い訳ばかりを繰り返すのは、相手に「反省していない」「責任転嫁している」という印象を与え、信頼を損ねます。

もちろん、事情を説明する必要がある場合もありますが、まずは「申し訳ありませんでした」「ご指摘ありがとうございます」と、相手の言葉を受け止める姿勢を示すことが大切です。その上で、「実は、〇〇という状況がありまして…今後は△△のように改善いたします」といったように、事実の説明と改善策を伝える方が、はるかに建設的です。

言い訳は、自分を守ろうとしているように見えて、実は自分の評価を下げてしまう行為なのです。

無視・仲間外れなどの非言語的攻撃

言葉を使わなくても、態度によって相手を傷つけ、精神的に追い詰める行為も、深刻なコミュニケーションの問題です。

  • 挨拶をされても無視する
  • 特定の人物だけを会話の輪に入れない
  • わざと聞こえるようにため息をついたり、舌打ちしたりする
  • 冷たい視線を送る、睨みつける

こうした非言語的な攻撃は、陰湿であり、受けた側の精神的なダメージは計り知れません。これは、ハラスメント行為にも該当する可能性があり、絶対に許されることではありません。もし、あなたがこうした行為を受けている、あるいは目撃している場合は、一人で抱え込まず、信頼できる上司や、職場の相談窓口、あるいは外部の専門機関に相談することが重要です。

これらのNGコミュニケーションは、意識すれば避けることができるものです。自分自身が加害者にならないように、そして、もし被害に遭った場合には、適切に対処できるように、しっかりと認識しておきましょう。

コミュニケーション上手は仕事上手!信頼されるSTになるために

言語聴覚士として働く上で、上司、先輩、同僚との円滑なコミュニケーションは、単に人間関係を良好に保つだけでなく、チーム医療の質を高め、あなた自身の仕事の効率や、働きがいにも直結する、非常に重要なスキルです。

「コミュニケーションが苦手…」と感じていたあなたも、この記事を通して、その原因を探り、基本的な心構えを整え、そして具体的な会話術を学ぶことで、「私にもできるかもしれない!」という希望が見えてきたのではないでしょうか?

  • 相手への敬意と傾聴を忘れずに。
  • 共通の目的(患者さんのために)を常に意識する。
  • 「ありがとう」「ごめんなさい」を素直に伝える。
  • 自分の意見も大切にする(アサーティブに)。
  • シーンに合わせて、伝え方・聞き方を工夫する。
  • NGコミュニケーションは絶対に避ける。

これらのことを、日々のコミュニケーションの中で、少しずつでも意識し、実践していくことで、あなたの周りの人との関係性は、確実に良い方向へと変わっていくはずです。

コミュニケーションスキルは、生まれ持った才能だけではありません。意識と練習によって、誰でも必ず向上させることができるものです。焦らず、失敗を恐れず、トライ&エラーを繰り返しながら、あなたらしいコミュニケーションスタイルを築いていってください。

そして、あなたが周りのスタッフから信頼され、「〇〇さんがいると、チームがうまく回るね!」「あなたと一緒だと、仕事がしやすいよ!」と言われるような、**「コミュニケーション上手なST」**になることで、あなたの職場での毎日は、もっと楽しく、もっと充実したものになるでしょう。

それでも、もし「今の職場の人間関係が、どうしても改善しない…」「コミュニケーションを頑張っても、報われない環境だ…」と感じるようなら、それは環境を変えることを考えるべきサインかもしれません。世の中には、もっと風通しが良く、スタッフ同士が互いを尊重し合える、あなたにとって働きやすい職場が必ずあります。

そんな時は、キャリアの専門家に相談してみるのも有効な手段です。リハビリ職の職場環境に詳しいキャリアアドバイザーなら、職場の雰囲気や人間関係に関するリアルな情報を提供してくれたり、あなたの希望に合った、より良い環境の求人(非公開求人を含む)を紹介してくれたりします。無料相談を利用して、客観的な視点を取り入れ、新たな可能性を探ってみることをお勧めします。

あなたが、職場のコミュニケーションの悩みから解放され、ストレスなく、いきいきとSTとしての専門性を発揮できる日が来ることを、心から応援しています!

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