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【オンライン訓練を始めたいSTへ】対面と何が違う?効果を高める3つの工夫と実践例

「最近よく聞く『オンライン言語訓練』って、どんな感じなんだろう?」 「場所に縛られずに働けるなら、魅力的かも…でも、本当に効果あるのかな?」 「パソコンとか苦手だし、対面じゃないと上手くできる自信がないな…」

言語聴覚士(ST)として働く中で、テクノロジーの進化とともに注目を集めている「オンライン言語訓練(遠隔リハビリテーション)」。あなたも、その言葉を耳にする機会が増え、興味を持ち始めているのではないでしょうか?

自宅にいながらリハビリを受けられる利便性や、感染症対策の観点からも、そのニーズは着実に高まっています。もしかしたら、あなたの職場でも導入が検討されていたり、すでに始めている同僚がいたりするかもしれませんね。

「新しい働き方として、挑戦してみたい!」 「もっと多くの人に、場所を選ばずリハビリを届けたい!」

そんな前向きな気持ちがある一方で、

「対面での関わりに慣れているから、画面越しでちゃんとできるか不安…」 「どんな準備が必要なの?何に気を付ければいいの?」 「コミュニケーションが取りにくくて、効果が出ないんじゃない?」

といった疑問や不安を感じ、なかなか一歩を踏み出せないでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなオンライン言語訓練に興味津々なあなたが、その世界に安心して飛び込めるように、対面リハビリとの違いから、メリット・デメリット、そして効果を最大限に引き出すための具体的な工夫まで、分かりやすく徹底解説します。

この記事を読み終える頃には、オンライン訓練への漠然とした不安が具体的な知識へと変わり、「これなら私にもできそう!」「効果を出すために、こう工夫してみよう!」と、自信を持って新しいチャレンジを始めるためのヒントが見つかっているはずです。さあ、一緒に未来のリハビリテーションの扉を開けてみましょう!

目次

オンライン言語訓練って何?基本を知ろう

「オンライン訓練」「遠隔リハビリ」…言葉は聞くけれど、具体的にどんなものなのか、まだよく知らないという方もいるかもしれませんね。まずは、その基本的な定義や対象、必要なもの、そして対面リハビリとの根本的な違いについて、しっかりと理解を深めましょう。基本を知ることで、メリットやデメリット、そして工夫すべき点も見えてきますよ。

定義と対象:どんな人が利用できる?

オンライン言語訓練とは、その名の通り、インターネット回線とビデオ通話ツール(Zoom、Skype、Teamsなど)を活用して、STと利用者さんが離れた場所にいながら行う言語聴覚療法のことです。「遠隔言語聴覚療法」「テレプラクティス」などと呼ばれることもあります。

対象となる方は、基本的には対面リハビリと同様ですが、オンラインという特性上、以下のような方々が利用しやすい、あるいはメリットが大きいと考えられます。

  • 地理的な制約がある方: 近くにSTがいる医療機関や施設がない、中山間地域や離島にお住まいの方など。
  • 移動が困難な方: 高齢や重度の障害、病気などで、通院や通所が難しい方。
  • 感染症リスクを避けたい方: 感染症が流行している時期や、免疫力が低下している方など、外出を控えたい方。
  • 多忙な方: 仕事や育児などで、決まった時間にリハビリ施設に通うのが難しい方。
  • 特定の専門性を求める方: 自分の地域にはいない、特定の分野(例:吃音、小児の特定の障害など)の専門STのリハビリを受けたい方。

ただし、オンライン訓練が適しているかどうかは、利用者さんの状態(重症度、認知機能、ITスキルなど)や、リハビリの目的によって異なります。誰にでも適用できるわけではない、という点は理解しておく必要があります。

必要な機材と環境:最低限これだけは!

オンライン訓練を始めるためには、ST側、利用者さん側それぞれに、最低限必要な機材と環境があります。

【ST側】

  • インターネット環境: 安定した高速インターネット回線(光回線推奨)。
  • パソコンまたはタブレット: カメラ、マイク、スピーカーが内蔵または外付けされているもの。画面が大きい方が、相手の表情などが確認しやすいです。
  • Webカメラ・マイク(推奨): PC内蔵のものでも可能ですが、よりクリアな映像と音声のために、外付けのWebカメラやマイクを使用するのがおすすめです。
  • ビデオ通話ツール: Zoom、Skype、Microsoft Teams、Google Meetなど。利用者さんと共通で使えるツールを選びます。セキュリティ面に配慮されたツールを選ぶことが重要です。
  • 静かでプライバシーが保てる場所: 背景がすっきりしていて、他の音が入らない、個室などの静かな環境が必要です。個人情報保護の観点からも必須です。

【利用者さん側】

  • インターネット環境: ST側と同様、安定した回線が必要です。
  • パソコン、タブレット、またはスマートフォン: カメラ、マイク、スピーカー付きのもの。
  • ビデオ通話ツールの準備: 事前にアプリのインストールやアカウント作成が必要な場合があります。
  • (可能であれば)サポートする人: IT機器の操作が苦手な方や、重度の障害がある方の場合、ご家族などのサポートが必要になることがあります。
  • リハビリに集中できる環境: テレビなどがついていない、静かな場所が望ましいです。

これらの機材や環境が整っているか、事前にしっかりと確認し、必要であれば準備をサポートすることも、オンライン訓練をスムーズに始めるためには重要です。

対面リハビリとの根本的な違いとは?

オンライン訓練と対面リハビリの最も根本的な違いは、言うまでもなく**「直接的な身体接触がない」**ということです。この違いが、様々なメリットとデメリットを生み出します。

対面リハビリの特徴:

  • 触診や身体的な誘導が可能: 筋肉の動きを直接触って確認したり、正しい姿勢や口の動きを誘導したりできます。
  • 非言語情報が豊か: 表情、視線、声のトーン、姿勢、雰囲気など、五感を通して多くの情報を得られます。
  • 環境が整っている: リハビリ室には、必要な物品や機器が揃っています。
  • 偶発的なコミュニケーション: リハビリ室への移動中や、他のスタッフとの会話など、偶発的なコミュニケーションの機会があります。
  • 場所と時間の制約: 利用者さんもSTも、決まった時間に決まった場所へ行く必要があります。

オンライン訓練の特徴:

  • 触診や身体的介助は不可能: これが最大の制約です。直接触れることによる評価や訓練はできません。
  • 非言語情報が限定的: 画面越しのため、得られる非言語情報は限られます。特に、全身の様子や細かな表情の変化などは捉えにくい場合があります。
  • 環境に左右される: 利用者さん側のインターネット環境や、周囲の騒音などに影響を受けます。必要な物品が手元にないことも。
  • コミュニケーションは意図的に: 画面越しのコミュニケーションに集中するため、偶発的なやり取りは生まれにくいです。
  • 場所と時間の柔軟性: インターネット環境があれば、どこからでも実施可能。移動時間も不要です。

この根本的な違いを理解した上で、オンライン訓練のメリットを最大限に活かし、デメリットをどう補っていくかを考えることが、効果的な実践の鍵となります。

メリットたくさん!オンライン訓練がもたらす可能性

「触れない」「情報が少ない」といった側面がある一方で、オンライン言語訓練には、対面リハビリにはない、たくさんのメリットと可能性が秘められています。「場所を選ばない」「時間が有効に使える」といった分かりやすい利点だけでなく、リハビリのアプローチそのものを変える可能性も。ここでは、オンライン訓練がもたらす4つの大きなメリットについて見ていきましょう。きっと、その魅力に引き込まれるはずです。

場所を選ばない利便性:利用者もSTも嬉しい!

オンライン訓練の最大のメリットは、やはり**「場所を選ばない」**ことでしょう。これは、利用者さん側にも、ST側にも大きな恩恵をもたらします。

  • 利用者さんのメリット:
    • 通院・通所の負担軽減: 交通手段がない、移動が困難、遠方に住んでいるといった理由でリハビリを諦めていた方も、自宅で気軽に専門的なリハビリを受けられます。
    • 時間的な制約の緩和: 通院・通所にかかる移動時間がなくなるため、仕事や家事、育児などで忙しい方でも、リハビリの時間を確保しやすくなります。
    • 慣れた環境でのリラックス効果: 自宅という慣れた環境でリラックスしてリハビリに取り組めるため、精神的な負担が少なく、効果が高まる可能性もあります。
  • ST側のメリット:
    • 働く場所の自由度向上: インターネット環境さえあれば、自宅やサテライトオフィスなど、様々な場所で働くことが可能になります。通勤時間の削減にも繋がります。
    • より多くの利用者への貢献: 地理的な制約がなくなるため、これまでアプローチできなかった地域の利用者さんにも、専門的な支援を届けることができます。
    • 多様な働き方の実現: フルリモートでの勤務や、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッドな働き方など、より柔軟なワークスタイルを選択できる可能性が広がります。

この「場所の制約からの解放」は、リハビリテーションへのアクセスを大きく改善し、STの働き方にも革命をもたらす可能性を秘めています。

時間の有効活用:移動時間ゼロの効率性

場所を選ばない、ということは、「移動時間」がゼロになることも意味します。これも、非常に大きなメリットです。

  • STの業務効率向上: 訪問リハビリなどでは、移動時間が業務時間のかなりの部分を占めることがありますが、オンラインならその時間が不要になります。空いた時間を、他の利用者さんのリハビリ、書類作成、自己学習などに充てることができ、業務全体の効率が向上します。
  • 利用者さんの時間的負担軽減: 前述の通り、利用者さんにとっても移動時間がなくなることは大きなメリットです。リハビリのために一日潰れてしまう、といったことがなくなります。
  • リハビリ頻度の向上可能性: 移動の負担が少ないため、対面では難しかった頻度(例:週に複数回)でのリハビリ実施も可能になる場合があります。

時間という貴重な資源を、STも利用者さんも有効に活用できる。これもオンライン訓練の大きな魅力です。

感染症リスクの低減:安心・安全なリハビリ提供

新型コロナウイルスの流行などを経て、感染症対策の重要性はますます高まっています。オンライン訓練は、感染リスクを最小限に抑えながらリハビリテーションを提供できる、非常に有効な手段です。

  • 接触機会の回避: STと利用者さんが直接接触しないため、感染症の伝播リスクを大幅に低減できます。
  • 外出不要によるリスク低減: 利用者さん(特に高齢者や基礎疾患のある方)が、感染リスクのある場所へ外出する必要がなくなります。
  • ST自身の感染予防: ST自身が感染源となる、あるいは感染するリスクも低減できます。
  • パンデミック下でも継続可能: 万が一、感染症のパンデミックなどが発生し、外出制限がかかった場合でも、オンラインであればリハビリテーションを継続できる可能性があります。

特に、感染に弱い利用者さんや、感染対策が強く求められる状況下において、オンライン訓練は「安心・安全」なリハビリを提供する上で、欠かせない選択肢となりつつあります。

デジタルツール活用による新たなアプローチ

オンライン訓練は、単に対面リハビリを画面越しに行うだけではありません。デジタルツールを効果的に活用することで、対面では難しかった新しいアプローチも可能になります。

  • 画面共有による視覚的サポート: 教材や資料、評価結果などを画面共有機能で一緒に見ながら説明することで、視覚的な理解を促すことができます。口頭説明だけよりも分かりやすくなります。
  • 多様なアプリやソフトウェアの活用: 言語訓練用のアプリ、高次脳機能訓練用のソフトウェア、コミュニケーション支援ツールなどを活用し、ゲーム感覚で楽しく、効果的なリハビリを提供できます。記録や効果測定が自動化されるものもあります。
  • リハビリ動画の活用: 事前に録画しておいた訓練動画を見てもらったり、利用者さんのリハビリの様子を録画して後でフィードバックしたり、といった活用も可能です。
  • データの蓄積と分析: オンラインツールによっては、リハビリの実施状況や成果に関するデータを自動的に蓄積・分析できるものもあり、客観的な効果測定や計画修正に役立ちます。

これらのデジタルツールを使いこなすことで、オンラインならではの付加価値の高いリハビリテーションを提供できる可能性が広がります。ST自身も、新しいスキルを身につける良い機会となるでしょう。

でも注意点も…オンライン訓練の課題とデメリット

たくさんのメリットがあるオンライン言語訓練ですが、もちろん課題やデメリットも存在します。「良いことばかり」と思って始めてしまうと、思わぬ壁にぶつかってしまうかもしれません。ここでは、オンライン訓練を導入・実践する上で、あらかじめ知っておくべき4つの注意点について解説します。これらの課題を理解し、対策を考えておくことが、スムーズな実践には不可欠です。

環境整備のハードル:利用者側のITスキルや設備の問題

オンライン訓練を実施するための最大のハードルの一つが、利用者さん側の環境整備です。

  • IT機器の有無と操作スキル: 高齢の利用者さんの中には、パソコンやタブレットを持っていなかったり、持っていても操作に慣れていなかったりする方が少なくありません。ビデオ通話アプリのインストールや設定、接続などに、ご家族などのサポートが必要不可欠な場合があります。
  • インターネット環境: 安定したインターネット回線がない、あるいは通信速度が遅いといった環境では、映像や音声が途切れてしまい、スムーズなリハビリが実施できません。Wi-Fi環境の整備なども課題となります。
  • 費用負担: これらの機器やインターネット回線の費用を誰が負担するのか、という問題も生じます。
  • プライバシーと騒音: 自宅でリハビリを受ける場合、同居家族がいる中でのプライバシーの確保や、生活音などの騒音が、リハビリへの集中を妨げる可能性もあります。

これらの環境整備のハードルをどう乗り越えるか、事前に利用者さんやご家族と十分に話し合い、必要であれば具体的なサポート(機器のレンタル、設定支援など)を提供できる体制を整えることが重要になります。

コミュニケーションの難しさ:非言語情報が伝わりにくい

画面越しのコミュニケーションでは、どうしても非言語情報(表情の細かな変化、視線、姿勢、場の空気感など)が伝わりにくくなるという側面があります。

  • 相手の反応が読み取りにくい: 微妙な表情の変化や、ちょっとしたためらいのサインなどを見逃しやすく、相手が本当に理解しているのか、どう感じているのかを正確に把握するのが難しくなることがあります。「ちゃんと伝わっているかな?」という不安を感じやすくなります。
  • ラポール(信頼関係)形成の難しさ: 対面での雑談や、ちょっとしたアイコンタクトなどで自然に生まれる、温かい雰囲気や信頼関係を、画面越しだけで築くのは、より意識的な努力が必要になります。無機質なコミュニケーションにならないような工夫が求められます。
  • 通信トラブルによる中断: 回線状況によっては、音声が途切れたり、映像が固まったりして、スムーズな会話が妨げられることもあります。これがストレスになることも。

これらのコミュニケーションの難しさを補うためには、より意識的に、そして丁寧に、言葉での確認や、表情・声のトーンを豊かにするなどの工夫が必要となります。

触診や身体的介助ができない限界

オンライン訓練の**最も本質的な限界点は、「触れることができない」**ということです。これにより、対面では可能だった評価や訓練ができなくなります。

  • 触診による評価の不可: 嚥下時の喉頭挙上や、構音器官の動きなどを、直接触って確認することができません。
  • 身体的な誘導・介助の不可: 正しい姿勢を保つための介助や、発声・構音訓練での口の形を直接誘導することなどができません。徒手的なアプローチは不可能です。
  • 安全管理の難しさ: 例えば、嚥下訓練中にムセが強く出た場合など、対面であればすぐに対応できることも、オンラインでは限界があります。窒息などのリスク管理には、より一層の注意が必要です。

この限界を理解した上で、オンラインで可能な評価・訓練方法を選択し、安全性を最優先に考えたプログラムを立案することが求められます。場合によっては、オンライン訓練が適さないと判断することも重要です.

緊急時対応への不安と責任

もし、オンライン訓練中に利用者さんの容態が急変したら?もし、通信が途絶えて連絡が取れなくなったら?緊急時の対応についても、事前にしっかりと体制を整えておく必要があります。

  • 緊急連絡体制の確立: 訓練中に何かあった場合に、すぐに連絡が取れるご家族や、近隣のサポート体制(訪問看護師、かかりつけ医など)を事前に確認し、連絡先を共有しておくことが必須です。
  • 対応プロトコルの作成: 「こんな時は、まずここに連絡する」「こういう状況になったら、訓練を中止する」といった、具体的な対応手順(プロトコル)を、事前に利用者さん・ご家族と共有し、合意しておく必要があります。
  • 責任の所在: オンラインという状況下で発生した事故やトラブルについて、どこまでがSTの責任範囲となるのか、という問題も考慮しておく必要があります。事業所として、保険への加入なども含めて、リスク管理体制を整えておくことが重要です。

「大丈夫だろう」と安易に考えず、万が一の事態を想定し、備えておくことが、安心してオンライン訓練を実施するための前提となります。

効果を最大限に引き出す!オンライン訓練成功の3つの工夫

オンライン訓練には、対面にはない難しさや注意点があることを理解いただけたかと思います。「じゃあ、どうすればオンラインでも効果的なリハビリができるの?」その答えは、オンラインならではの特性を活かし、デメリットを補うための「工夫」にあります。ここでは、オンライン言語訓練の効果を最大限に引き出し、成功へと導くための3つの重要な工夫について、具体的な実践例を交えながらご紹介します!

工夫1:事前準備と環境設定を徹底する

オンライン訓練の成否は、始まる前の「準備」で8割決まると言っても過言ではありません。スムーズで効果的なセッションにするために、事前準備と環境設定を徹底しましょう。

  • 利用者さん側の環境チェックとサポート:
    • 接続テスト: 初回セッションの前には、必ずビデオ通話ツールへの接続テストを行い、映像や音声に問題がないかを確認します。必要であれば、ご家族に同席してもらい、操作方法などを丁寧に説明します。
    • カメラ位置の調整: 利用者さんの顔(特に口元)や、訓練に必要な上半身などが、はっきりと画面に映るように、カメラの位置や角度を事前に調整してもらいます。固定できるスタンドなどがあると便利です。
    • 周囲の環境調整: テレビを消す、窓を閉めるなど、できるだけ静かで集中できる環境を整えてもらうようにお願いしましょう。
    • 必要物品の準備: 訓練で使用する教材(事前に郵送やデータで送っておく)、筆記用具、水、ティッシュなどを、手の届くところに準備しておいてもらいます。
  • ST側の環境と計画:
    • 通信環境の安定確保: 途切れない安定したインターネット回線は必須です。
    • 機材の事前チェック: カメラ、マイク、スピーカーが正常に作動するか、事前に必ずチェックします。
    • 背景への配慮: 生活感が出すぎないように、背景は壁やカーテンなど、シンプルなものを選びましょう。バーチャル背景を使うのも良いですが、不自然にならない程度に。
    • セッション計画の具体化: その日の目標、実施する課題、時間配分などを、対面以上に具体的に計画しておきましょう。画面共有する資料なども、すぐに開けるように準備しておきます。
    • 緊急連絡先の再確認: 万が一に備え、緊急連絡先がすぐに確認できるようにしておきます。

この事前準備を丁寧に行うことで、当日のトラブルを最小限に抑え、スムーズにリハビリに集中することができます。

工夫2:視覚情報と聴覚情報を最大限に活用する

画面越しでは伝わる情報が限られるため、「視覚」と「聴覚」から得られる情報を最大限に活用する工夫が重要になります。

  • 視覚情報の活用:
    • 大きなリアクションと表情: 相手に感情や反応を伝えるために、対面時よりも少し大きめに、そして豊かに表情を表すことを意識しましょう。うなずきやジェスチャーも効果的です。
    • 口元の強調: 発音訓練などでは、カメラに口元を近づけ、はっきりと口の動きを見せるようにします。必要であれば、手鏡などで自分の口元を見てもらいながら行うのも良いでしょう。
    • 画面共有の活用: 教材、イラスト、写真、評価結果のグラフなどを画面共有で見せることで、視覚的な理解を助けます。ホワイトボード機能などを活用して、文字や図を書きながら説明するのも有効です。
    • 文字情報の併用: 必要に応じて、チャット機能で重要なキーワードを文字で送ったり、テロップのように表示できるツールを使ったりするのも良いでしょう。
  • 聴覚情報の活用:
    • クリアな音声: マイクの性能を確認し、できるだけ雑音が入らないように、はっきりと、少しゆっくりめに話すことを心がけましょう。
    • 声のトーンや抑揚: 表情が見えにくい分、声のトーンや抑揚を豊かにすることで、感情や話の重要度を伝えることができます。
    • 聞き取りの確認: 相手の声が聞き取りにくい場合は、遠慮せずに聞き返したり、音量調整をお願いしたりしましょう。「聞こえていますか?」と適宜確認することも大切です。

五感のうち、視覚と聴覚に集中し、それぞれの情報を最大限に活用・伝達する工夫が、オンラインでのコミュニケーションの質を高めます。

工夫3:対面以上に丁寧なコミュニケーションを心がける

非言語情報が伝わりにくく、誤解も生じやすいオンライン環境では、対面以上に丁寧で、きめ細やかなコミュニケーションを心がけることが、信頼関係を築き、効果的なリハビリを進める上で不可欠です。

  • こまめな確認とフィードバック:
    • 「ここまでで、何か分からないことはありますか?」
    • 「今の説明、分かりにくくなかったですか?」
    • 「〇〇さんのペースで大丈夫ですよ」
    • 相手の理解度や感情を、こまめに言葉で確認しましょう。
    • 「今の発音、とても綺麗でしたよ!」「集中して取り組めましたね!」といったポジティブなフィードバックも、対面以上に意識的に、具体的に伝えることが大切です。
  • 共感的な言葉かけの意識: 表情が見えにくい分、「それはお辛かったですね」「頑張っていらっしゃいますね」といった共感的な言葉かけを、より意識的に行いましょう。相手の気持ちに寄り添う姿勢が、安心感に繋がります。
  • セッションの始めと終わりの挨拶・雑談: 最初に「今日の体調はいかがですか?」といったアイスブレイクを入れたり、最後に「今日は〇〇ができるようになりましたね。次回も楽しみにしています」といったポジティブな言葉で締めくくったりするなど、セッションの前後でのコミュニケーションも大切にしましょう。
  • ユーモアや遊び心も: 状況にもよりますが、時にはユーモアを交えたり、楽しい課題を取り入れたりすることも、画面越しのコミュニケーションを和ませ、関係性を深めるのに役立ちます。
  • 記録や連絡の丁寧さ: セッション後の記録や、ご家族・他職種への連絡も、オンラインだからこそ、より丁寧に、誤解のないように行うことを心がけましょう。

「画面越しだからこそ、より丁寧に」。この意識を持つことが、オンライン訓練を成功させるための最も重要な心構えと言えるかもしれません。

オンライン訓練で拓く、新しいSTの働き方と貢献

オンライン言語訓練。それは、対面リハビリとは異なる難しさや注意点がある一方で、場所や時間の制約を超え、より多くの人に専門的な支援を届けられる、大きな可能性を秘めた新しいリハビリテーションの形です。

「私には無理かも…」と感じていた不安も、この記事を通して、

  • オンライン訓練の基本と、対面との違い
  • たくさんのメリットと、乗り越えるべき課題
  • 効果を高めるための具体的な3つの工夫

を知ることで、少し和らいだのではないでしょうか?

大切なのは、オンラインの限界を理解しつつ、そのメリットを最大限に活かす工夫をすること。そして、対面以上に丁寧なコミュニケーションを心がけ、利用者さんとの信頼関係を築いていくことです。

もしあなたが、 「オンライン訓練のスキルをもっと本格的に学びたい!」 「オンライン訓練を積極的に導入している職場で働いてみたい!」 「場所に縛られない、新しい働き方に挑戦してみたい!」

と考えるようになったなら、それはあなたのキャリアにとって、新たな扉が開くチャンスかもしれません。

しかし、オンライン訓練の導入状況や、研修・サポート体制は、職場によって大きく異なります。「オンラインで働ける」と謳っていても、実際には環境が整っていなかったり、十分なサポートが得られなかったりする可能性もあります。

そんな時、頼りになるのがキャリアの専門家です。リハビリ職の働き方に詳しいキャリアアドバイザーなら、

  • オンライン訓練を導入している施設の具体的な情報(使用ツール、対象者、サポート体制など)を豊富に持っています。
  • オンライン訓練に必要なスキルや、それを学べる研修などの情報を提供してくれます。
  • あなたの希望や適性に合った、オンライン(またはハイブリッド)での働き方が可能な求人非公開求人を含む)を紹介してくれます。

新しい働き方への挑戦には、情報収集と準備が不可欠です。無料のキャリア相談などを活用し、専門家の視点を取り入れることで、あなたはより安心して、そして自信を持って、オンライン訓練という新しい世界へ、あるいは新しい働き方へと、一歩を踏み出すことができるでしょう。

オンライン言語訓練というツールを手に入れることで、あなたはこれまで以上に多くの人を支え、社会に貢献できる可能性を秘めています。変化を恐れず、新しいスキルを身につけ、あなたらしい働き方で、言語聴覚士としてさらに輝いていくことを、心から応援しています!

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