「毎朝決まった時間に出勤するの、ちょっとしんどいな…」 「もっと自分のペースで、好きな時間に働けたら最高なのに!」 「組織のルールに縛られず、自分のやりたいリハビリを追求したい!」
言語聴覚士(ST)として働く中で、そんな風に「もっと自由な働き方」に憧れを抱いたことはありませんか? 満員電車に揺られることもなく、好きな場所で、自分の専門性を存分に活かして仕事をする…そんな「フリーランス」という働き方に、キラキラしたイメージを持っている方もいるかもしれません。
特に、自分の時間をもっと大切にしたい、子育てや介護と仕事を両立させたい、あるいは、特定の分野をとことん追求したい、という思いがある方にとって、組織に属さない働き方は非常に魅力的に映るでしょう。
でも、ちょっと待ってください。その憧れの裏側にある「リアル」を、あなたはどれくらい知っていますか?
「フリーランスって、実際どれくらい稼げるの?」 「仕事って、どうやって見つけるんだろう?」 「一人で全部やるって、かなり大変なんじゃない…?」
自由な働き方には、確かに大きな魅力があります。しかし、その一方で、会社員や組織に属している時にはなかった「責任」や「不安定さ」が伴うのも事実です。
この記事では、「フリーランスSTになりたい!」と考えているあなたが、憧れだけで飛び込んで後悔しないために、フリーランスのリアルな実態、成功するために必要なこと、そして独立に向けた具体的な準備について、詳しく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、フリーランスという働き方への理解が深まり、あなたが本当に目指すべき道なのか、そしてもし目指すなら何をすべきなのかが明確になっているはずです。さあ、自由と責任の世界を、一緒に探求していきましょう!
フリーランスSTへの憧れ、その魅力と「本当のところ」
「好きな時間に、好きな場所で、好きな仕事をする」…そんなイメージが先行しがちなフリーランス。確かに、組織に縛られない自由度の高さは大きな魅力です。でも、そのイメージと現実の間には、ギャップがあるかもしれません。まずは、多くの人が憧れるフリーランスの魅力と、その「本当のところ」について、冷静に見つめていきましょう。

「時間や場所に縛られない」は本当?自由な働き方の実態
フリーランスの最大の魅力として挙げられるのが、「時間や場所の自由」ですよね。
「朝寝坊してもOK!」「カフェで仕事してもいいんでしょ?」 確かに、理論上はその通りです。いつ、どこで働くかは基本的に自分で決められます。納期さえ守れば、日中に用事を済ませたり、平日に旅行に行ったりすることも可能です。これは、会社員ではなかなか得られない大きなメリットでしょう。
でも、現実は…?
- 自己規律が必須: 自由であるということは、裏を返せば「誰も管理してくれない」ということ。サボろうと思えばいくらでもサボれてしまいます。高い自己規律を持ち、自分で自分を律して仕事を進めなければ、あっという間に仕事が溜まり、納期に追われる…なんてことになりかねません。「自由=楽」ではないのです。
- 働く時間の偏り: クライアント(契約先の施設や利用者さん)の都合に合わせる必要があるため、必ずしも自分の好きな時間にだけ働けるとは限りません。むしろ、仕事が集中する時期には、会社員時代以上に長時間働くことになる可能性もあります。
- 場所の制約も: オンライン完結の仕事なら場所を選びませんが、訪問リハビリや対面でのセミナー講師などは、当然ながら指定された場所へ行く必要があります。「完全に場所に縛られない」働き方ができるかは、仕事内容によります。
「自由」には、常に「自己責任」が伴うことを忘れてはいけません。
「頑張った分だけ収入UP」?収入面のリアルと不安定さ
「フリーランスになれば、頑張り次第で会社員時代より稼げる!」そんな期待を抱く人もいるでしょう。
確かに、自分で仕事を選び、単価を設定し、働いた分だけ収入に繋がる可能性があるのは事実です。実力次第では、組織に属している時よりも高い収入を得ることも夢ではありません。複数の契約先を持ったり、単価の高い専門的な仕事を受けたりすることで、収入を増やしていくことができます。
でも、現実は…?
- 収入の波が大きい: 毎月決まった額が振り込まれる会社員とは違い、フリーランスの収入は不安定です。仕事が順調な月もあれば、依頼が少なく収入が激減する月もあります。「今月はこれだけ稼いだけど、来月はどうなるか分からない…」という不安は常につきまといます。
- 経費は自己負担: 会社員なら会社が負担してくれる経費(交通費、研修費、物品費、社会保険料の一部など)も、フリーランスは全て自己負担です。売上=手取り収入ではないことを理解しておく必要があります。
- 単価交渉の難しさ: 自分のスキルや経験に見合った単価を設定し、クライアントに納得してもらう必要があります。安請け合いしてしまうと、忙しいだけで収入に繋がらない…という状況にもなりかねません。
- 保障がない: 病気やケガで働けなくなっても、会社員のような傷病手当金や有給休暇はありません。収入が途絶えるリスクに、自分で備えておく必要があります。
「頑張れば稼げる」のは事実ですが、それは安定した収入が保証されているわけではない、ということを肝に銘じておく必要があります。
「自分のやりたいリハビリができる」?理想と現実のギャップ
「組織のしがらみなく、自分の理想とするリハビリを追求したい!」これも、フリーランスを目指す大きな動機の一つですよね。
確かに、フリーランスになれば、リハビリの方針や内容について、自分の考えを反映させやすくなります。特定の分野に特化したり、新しいアプローチを試したりすることも、組織にいる時よりは自由かもしれません。
でも、現実は…?
- クライアントの意向は無視できない: 当然ながら、仕事である以上、クライアント(施設や利用者さん、ご家族)の意向やニーズに応える必要があります。自分のやりたいことだけを押し通すことはできません。時には、自分の考えとは違う方針を受け入れなければならない場面もあります。
- 仕事を選べる立場になるまでが大変: 独立当初は、まず仕事を得ることが最優先になります。「やりたい仕事」だけを選り好みできる状況ではなく、「できる仕事」「依頼された仕事」をこなしていく中で、徐々に自分の専門性や強みを活かせる仕事にシフトしていく、というケースが多いでしょう。
- 常に学び続ける必要性: 組織にいれば、研修の機会が提供されたり、先輩から指導を受けられたりしますが、フリーランスは自分で学び続けなければ、スキルはあっという間に陳腐化してしまいます。自己投資を怠ると、かえって「やりたいリハビリ」ができなくなる可能性もあります。
「自由」に理想のリハビリを追求するためには、クライアントとの良好な関係構築、仕事を選べるだけの実績と信頼、そして自己研鑽への強い意志が必要不可欠なのです。
フリーランスSTとして成功するために必要な「覚悟」と「スキル」
フリーランスのリアルな姿が見えてきたところで、「それでも挑戦したい!」という気持ちが揺らいでいないあなたへ。その強い意志があれば、きっと道は拓けます。しかし、成功するためには、言語聴覚士としての臨床スキルだけでは不十分です。ここでは、フリーランスSTとして活躍するために不可欠な「覚悟」と、身につけておくべき重要な「スキル」についてお伝えします。
臨床スキルだけでは足りない!必須のビジネススキルとは?
フリーランスは、一人の「事業主」です。優れた臨床スキルを持っていることは大前提ですが、それと同じくらい、ビジネスパーソンとしてのスキルが重要になります。
- 営業力・マーケティング力: 自分という商品を売り込み、仕事を取ってくる力です。自分の強みや提供できる価値を明確にし、それを必要としている人に効果的にアピールする必要があります。名刺作成、ポートフォリオ(実績集)作成、ウェブサイトやSNSでの情報発信なども含まれます。
- 交渉力: 契約条件(業務内容、報酬、期間など)をクライアントと交渉し、お互いが納得できる合意点を見つける力です。自分の価値を正当に評価してもらい、不利な条件にならないように主張することも時には必要です。
- コミュニケーション能力: クライアントとの円滑な関係構築はもちろん、報告・連絡・相談を密に行い、信頼を得ることが不可欠です。また、様々な立場の人と関わる中で、相手に合わせた柔軟なコミュニケーションが求められます。
- 基本的なPCスキル: 請求書作成、見積書作成、確定申告、情報収集など、PCを使う場面は多岐にわたります。基本的な操作はもちろん、効率化のためのツール活用などもできると良いでしょう。
「ビジネスなんて、難しそう…」と感じるかもしれません。でも、これらはフリーランスとして活動する上で避けては通れないスキルです。少しずつでも学び、実践していくことが大切です。
自己管理能力が超重要!時間・健康・モチベーション維持の壁
会社員のように、誰かが管理してくれる環境ではありません。フリーランスにとって、自己管理能力は何よりも重要です。
- 時間管理能力: 自分でスケジュールを立て、納期を守り、効率的に仕事を進める力です。自由な時間が多いからこそ、計画性がなければ、仕事に追われたり、逆にダラダラ過ごしてしまったりします。「いつまでに何をやるか」を明確にし、実行する意志の強さが求められます。
- 健康管理能力: 体調を崩して仕事ができなくなれば、収入は途絶えます。会社員のような保障もありません。規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、常にベストなコンディションを維持することが、フリーランスとしての生命線です。
- モチベーション管理能力: 孤独な作業が続いたり、思うように仕事が進まなかったりすると、モチベーションが低下しがちです。自分で目標を設定し、達成感を味わったり、時には意識的に休息を取ったり、仲間と交流したりするなど、モチベーションを維持するための工夫が必要です。
「自分は結構、自己管理が苦手かも…」という自覚がある方は、特に意識してこれらの能力を高める努力が必要です。
孤独との戦い?相談相手や繋がりをどう確保するか
フリーランスは、基本的に一人で仕事を進めるため、孤独を感じやすいという側面があります。
- 気軽に相談できる相手がいない: 臨床で判断に迷った時、事務手続きで分からないことがあった時、あるいは単に仕事の愚痴を言いたい時など、すぐに相談できる同僚が近くにいないのは、想像以上に心細いものです。
- 情報交換の機会が減る: 組織にいれば、同僚との会話や勉強会などを通して、自然と新しい情報が入ってきますが、フリーランスは自分から積極的に情報を取りにいかなければ、知識が偏ったり、古くなったりする可能性があります。
- 所属意識の欠如: 会社やチームへの所属意識がないため、社会的な繋がりが希薄に感じられることもあるかもしれません。
この「孤独」とどう向き合い、どうやって外部との繋がりを確保していくかが、フリーランスとして長く活動していくための鍵となります。学会や研修会への積極的な参加、SNSでの交流、同業者コミュニティへの参加、あるいは定期的に連絡を取り合える仲間を見つけるなど、意識的に繋がりを求める努力が必要です。
収入不安定のリスクとどう向き合う?経済的な備えの重要性
フリーランスの最大の不安要素の一つが、収入の不安定さです。これとどう向き合い、備えるかが、精神的な安定にも繋がります。
- 生活防衛資金の確保: まず、万が一収入が途絶えても、最低限の生活を維持できるだけの貯蓄(生活費の3ヶ月?半年分、あるいはそれ以上)を確保しておくことが絶対条件です。これが心のセーフティネットになります。
- 収入源の複数化: 一つの契約先に依存するのではなく、複数のクライアントと契約したり、異なる種類の仕事(例:訪問リハ+オンライン相談+セミナー講師)を組み合わせたりすることで、収入源を分散し、リスクを軽減することができます。
- 収支管理の徹底: 毎月の収入と支出をきちんと把握し、無駄な出費を抑えるなど、計画的な資金管理を行うことが重要です。事業用の口座とプライベート用の口座を分けるなど、基本的なことから始めましょう。
- 保険への加入: 病気やケガに備える医療保険や、働けなくなった時の収入を補償する所得補償保険など、民間の保険への加入も検討しましょう。国民健康保険や国民年金だけではカバーしきれないリスクに備えることができます。
経済的な安定は、心の安定に直結します。「お金のことは、なんとかなるさ」と楽観視せず、しっかりとリスクに備える「覚悟」が必要です。
独立へのロードマップ!フリーランスSTになるための具体的な準備ステップ
「フリーランスのリアルも覚悟も分かった!いよいよ独立に向けて準備を始めたい!」そんなあなたのために、具体的な準備ステップをロードマップ形式でご紹介します。思いつきで行動するのではなく、計画的に準備を進めることが、スムーズな独立と、その後の成功への鍵となります。一つずつ着実にクリアしていきましょう。

まずは自己分析!自分の強み・専門分野・ターゲットを明確に
独立準備の第一歩は、やはり「自分を知る」ことです。フリーランスとして、何を武器に、誰に対して、どんな価値を提供していくのかを明確にしましょう。
- 強み・スキルの棚卸し: これまでの臨床経験で培ってきたスキル、得意な分野、取得した資格などを全て書き出しましょう。「嚥下障害へのアプローチが得意」「小児の発達評価に自信がある」「多職種連携の調整が得意」など、具体的にリストアップします。
- 専門分野(提供サービス)の決定: あなたの強みを活かせる分野、そして情熱を持って取り組める分野を絞り込みます。「何を専門とするフリーランスSTなのか」を明確にすることで、自己アピールがしやすくなり、仕事の依頼にも繋がりやすくなります。
- ターゲット顧客の明確化: どんな人(利用者さん、施設、企業など)に、あなたのサービスを提供したいですか?ターゲットを具体的に設定することで、営業戦略や情報発信の内容が変わってきます。「〇〇な悩みを持つ方に、△△を提供したい」という形まで具体化できると良いでしょう。
この自己分析が、あなたのフリーランスとしての「軸」となり、今後の活動の方向性を決める羅針盤となります。
開業準備は計画的に!手続き・資金・事業計画のポイント
フリーランスとして活動を始めるためには、いくつかの手続きと準備が必要です。漏れなく、計画的に進めましょう。
- 開業形態の決定: 個人事業主として開業するのが一般的ですが、場合によっては法人化(株式会社や合同会社など)を検討することもあるかもしれません。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った形態を選びます。(最初は個人事業主から始めるケースが多いでしょう)
- 開業手続き: 税務署への開業届の提出は必須です。その他、必要に応じて青色申告承認申請書なども提出します。手続きの方法が分からない場合は、税務署の窓口や専門家(税理士など)に相談しましょう。
- 資金計画: 独立当初は収入が不安定になる可能性が高いため、当面の生活費や事業に必要な初期費用(PC購入費、教材費、ウェブサイト作成費など)を賄えるだけの資金を準備しておく必要があります。どれくらいの資金が必要か、事前にしっかり計算しておきましょう。
- 事業計画の作成(任意だがあると良い): 必須ではありませんが、事業計画を作成することをお勧めします。提供するサービス、ターゲット、収支計画、マーケティング戦略などを具体的にまとめることで、目標が明確になり、活動の指針となります。融資を受ける場合には必要になることもあります。
「手続きとか難しそう…」と感じるかもしれませんが、一つずつ調べていけば大丈夫。早め早めに準備を始めることが大切です。
仕事はどうやって得る?営業・人脈作り・情報発信の方法
フリーランスにとって、「どうやって仕事を得るか」は最も重要な課題の一つです。待っているだけでは仕事は来ません。自分から積極的に動く必要があります。
- これまでの人脈を活かす: 前職の同僚や上司、取引先、研修会で知り合った人など、これまでの人脈は貴重な財産です。独立することを伝え、仕事に繋がりそうな人がいれば紹介をお願いしてみましょう。
- 営業活動: 興味のある施設や企業に直接アプローチしたり、ケアマネージャーさんに挨拶回りに行ったりするなど、地道な営業活動も必要です。あなたの専門性や提供できる価値を分かりやすく伝える資料(ポートフォリオなど)を用意しておくと良いでしょう。
- ウェブサイトやSNSでの情報発信: あなたの専門性や活動内容を発信するウェブサイトやブログ、SNSアカウントを作成しましょう。検索エンジンからの集客や、SNSでの口コミに繋がる可能性があります。質の高い情報発信は、あなたの信頼性を高めることにも繋がります。
- マッチングサイトやクラウドソーシングの活用: フリーランス向けの仕事を紹介するプラットフォームを活用するのも一つの手です。ただし、単価が低い案件も多いので注意が必要です。
- 紹介や口コミ: 質の高い仕事を提供し続けることで、クライアントからの紹介や口コミで仕事が広がることもあります。一つ一つの仕事を丁寧に行い、信頼を積み重ねることが、長期的な成功の鍵です。
最初はなかなか仕事が見つからないかもしれませんが、諦めずに様々な方法を試し、行動し続けることが大切です。
保険や税金はどうなる?知っておくべき事務手続きの基礎
会社員からフリーランスになると、これまで会社がやってくれていた保険や税金に関する手続きを、全て自分で行う必要があります。後で困らないように、基本的な知識を身につけておきましょう。
- 社会保険:
- 健康保険: 退職後は、国民健康保険に加入するか、任意継続(退職後2年間、前職の健康保険を継続)するか、家族の扶養に入るかを選択します。保険料や保障内容を比較検討しましょう。
- 年金: 国民年金への加入が義務付けられます。厚生年金に比べて将来受け取れる年金額が少なくなるため、iDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用して、自分で上乗せするなどの対策を検討すると良いでしょう。
- 税金:
- 所得税: 毎年、確定申告を行い、所得税を納める必要があります。売上から経費を差し引いた所得に対して課税されます。日々の収入や経費をきちんと記録しておくことが重要です。青色申告を選択すると、節税メリットがあります。
- 住民税: 所得に応じて、お住まいの自治体に住民税を納めます。確定申告をすれば、別途手続きは不要な場合が多いです。
- 消費税: 売上が一定額(原則1,000万円)を超えると、消費税の納税義務が発生します。
- 個人事業税: 所得が一定額(原則290万円)を超えると、個人事業税が課税される場合があります。(業種によって異なります)
- その他: 仕事中の事故などに備える労災保険は、フリーランスは原則対象外ですが、特別加入制度があります。必要に応じて検討しましょう。
「税金とか保険とか、全然分からない…」という方は、税理士などの専門家に相談することを強くお勧めします。専門家を頼ることで、手続きの漏れを防ぎ、節税対策などもアドバイスしてもらえます。
フリーランスだけじゃない?「自由な働き方」を実現する他の選択肢
フリーランスという働き方に魅力を感じつつも、「やっぱり収入の不安定さや、全部一人でやるのは不安が大きいな…」と感じているあなたへ。実は、「自由な働き方」を実現する方法は、フリーランス以外にも存在します。組織に属しながらも、ある程度の裁量や柔軟性を持って働ける選択肢もあるのです。視野を広げて、あなたに最適な働き方を探してみましょう。

業務委託やパートタイムという働き方
フリーランス(個人事業主)として完全に独立するのではなく、特定の業務に関して企業や施設と「業務委託契約」を結んだり、「パートタイム(非常勤)」として働いたりする方法です。
- 業務委託: 特定のプロジェクトや業務(例:週に数回の訪問リハビリ、特定の研修講師など)を請け負う形です。フリーランスに近い働き方ですが、特定のクライアントと継続的な関係を築きやすい場合があります。
- パートタイム(非常勤): 決まった曜日や時間だけ、組織に雇用されて働く形です。フリーランスほどの自由度はありませんが、社会保険に加入できたり、安定した収入が見込める場合があります。フルタイムよりも時間にゆとりが持てるため、プライベートとの両立がしやすいでしょう。
これらの働き方は、フリーランスと会社員(常勤)の中間のような位置づけと考えることができます。「完全なフリーランスはハードルが高いけど、もう少し柔軟に働きたい」という方には、良い選択肢となるかもしれません。
副業から始めてみるというステップ
いきなりフリーランスとして独立するのではなく、まずは今の仕事を続けながら「副業」として、フリーランス的な働き方を試してみる、という方法もあります。
- リスクを抑えて挑戦できる: 本業の収入があるので、副業での収入が不安定でも、生活への影響を最小限に抑えられます。「フリーランスが自分に合っているか」「この分野で仕事の依頼があるか」などを、リスクを抑えながら試すことができます。
- スキルアップや人脈作りの機会に: 副業を通して、新しいスキルを習得したり、本業とは異なる人脈を築いたりすることができます。それが、将来的な独立やキャリアチェンジに繋がる可能性もあります。
- 徐々にシフトしていく: 副業が軌道に乗ってきて、収入も安定してきたら、徐々に本業の時間を減らしたり、最終的に独立したり、といった段階的な移行が可能です。
ただし、副業を始める前には、必ず現在の職場の就業規則を確認し、副業が禁止されていないか、許可が必要かなどを確認しましょう。また、本業に支障が出ないように、体調管理や時間管理をしっかり行うことが大前提です。
柔軟な働き方が可能な職場を探すという道
「フリーランスになりたい!」という思いの根底にあるのが、「もっと時間に融通を利かせたい」「自分のペースで働きたい」ということであれば、必ずしも独立だけが答えではありません。近年は、組織に属しながらも、柔軟な働き方を導入している職場も増えています。
- フレックスタイム制: コアタイム(必ず勤務しなければならない時間帯)以外は、始業・終業時間を自分で決められる制度です。
- 時短勤務制度: 育児や介護などの理由がなくても、正社員のまま短い時間で働ける制度を導入している場合があります。
- 週休3日制: 休日を増やし、プライベートな時間を確保しやすい働き方です。
- リモートワーク(テレワーク): 通勤時間がなくなり、自宅など場所を選ばずに働ける場合があります(STの業務内容によっては難しい場合もありますが、書類作成業務などで一部導入されているケースも)。
もし、あなたが「組織の安定」も「働き方の自由度」も、ある程度両立させたいと考えているなら、こうした柔軟な勤務制度を持つ職場へ転職するという選択肢も非常に有効です。
「そんな職場、どうやって探せばいいの?」と思いますよね。求人情報だけでは、実際の働き方の柔軟性は分かりにくいものです。
そんな時こそ、リハビリ職の働き方に詳しいキャリアアドバイザーに相談してみるのがおすすめです。彼らは、
- 様々な施設の内部事情や、働き方の実態について詳しい情報を持っています。
- あなたの希望(「残業が少ない職場がいい」「子育てと両立しやすい環境がいい」など)を丁寧にヒアリングし、非公開求人も含めて、柔軟な働き方が可能な職場を紹介してくれます。
- 「フリーランスと、柔軟な働き方ができる会社員、どちらが自分に合っているか」といったキャリア相談にも、客観的な視点からアドバイスをくれます。
専門的なキャリアサポートを活用することで、フリーランスという選択肢だけに縛られず、より幅広い視野で、あなたにとって最適な「自由な働き方」を見つけることができるでしょう。無料で相談できるサービスが多いので、情報収集の一環として、ぜひ活用してみてください。
自由と責任を両手に!あなたらしい働き方を見つけるために
フリーランスという働き方。それは、時間や場所に縛られず、自分の裁量で仕事を進められる大きな魅力がある一方で、収入の不安定さ、自己管理の難しさ、孤独感といった、乗り越えるべき壁も存在する、まさに「自由と責任」が表裏一体の世界です。
この記事を通して、フリーランスSTのリアルな姿、成功のための秘訣、そして独立への具体的なステップが見えてきたでしょうか?
「やっぱり挑戦してみたい!」と決意を新たにした方も、「自分には少しハードルが高いかも…」と感じた方もいるかもしれません。どちらの結論に至ったとしても、それはあなた自身が真剣にキャリアと向き合った証拠であり、価値のある気づきです。
大切なのは、憧れだけで判断せず、リアルな情報を集め、自分自身の価値観やライフプランと照らし合わせて、納得のいく働き方を選択すること。
もし、あなたがフリーランスへの道を歩むと決めたなら、この記事で紹介した準備を一つずつ着実に進め、覚悟を持って挑戦してください。
もし、「フリーランスは自分には違うかも」と感じたなら、業務委託やパートタイム、副業、あるいは柔軟な働き方ができる職場への転職など、他の選択肢を探ってみましょう。「自由な働き方」の形は一つではありません。
そして、どんな道を選ぶにしても、一人で悩みを抱え込まないでください。家族、友人、先輩、そしてキャリアの専門家など、頼れる存在は必ずいます。
特に、リハビリ職に特化したキャリアサポートは、フリーランスを目指すか、組織で働くか、あるいはその中間の道を探るか、あらゆる段階であなたの良き相談相手となり、具体的な情報や選択肢を提供してくれます。無料で活用できる貴重なリソースを、ぜひあなたのキャリアプランニングに役立ててください。
自由と責任をその両手に、あなたらしい働き方を見つけ、言語聴覚士として、そして一人の人間として、より豊かで充実した未来を歩んでいけるよう、心から応援しています!